【合弁会社とは?】今さら聞けない設立のメリット・デメリットを解説

合弁会社とは DFE

日本の法律『会社法』で定められた法人形態は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つ。

今回のこの記事で解説する「合弁会社」は、会社法の規定に基づくものではなく、簡単に言うと「複数の企業が合同で出資を行い設立された会社のことを『合弁会社』と呼んでいる」ものです。

つまり合弁会社は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社のいずれかの形態で設立されています。

ここからは、今さら聞けない「合弁会社」について解説します。

合弁会社とは

合弁会社とは、2つ以上の複数の企業が共同で出資し設立した会社のこと。

JV(ジョイントベンチャー)と呼ばれることもあります。

先述のとおり『会社法』で定められた法人形態は次の4つ。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合名会社
  • 合資会社

「合弁会社」は『会社法』で定められた法人形態ではありません。共同出資によってつくられた会社のことを称しているだけで、4つのうちのいずれかの形態で設立されています。出資者責任が有限責任となる「株式会社」か「合同会社」を選ぶことがほとんどです。

日本の合弁会社の多くは、外資企業との共同出資によって設立されています。外資企業の日本進出、また日本企業が現地企業と協力して合弁会社を設立し海外進出を行うことも可能。

またM&Aを検討する際、その1つとして合弁会社という形態も有力な選択肢です。

法人格については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

合併や提携との違い

合弁会社に似た用語に「合併」や「提携」があります。合弁会社との違いを確認しておきましょう。

合併

合併は複数の法人がひとつになるものです。

A社・B社を両方消滅させてC社を作る「新設合併」、A社かB社のどちらかを消滅させ一社だけを残す「吸収合併」があります。

いずれも会社の消滅が伴うので、合弁会社の仕組みとは異なります。

提携

提携には「業務提携」と「資本提携」があります。

業務提携は、相互の会社が保有する技術やノウハウを使用していくこと。出資が伴わないので合弁会社の仕組みとは明らかに異なります。

一方で資本の移動が伴う資本提携は、一方の企業が他社に出資すること。つまりA社がB社に出資をする関係なので、合弁会社のようにA社とB社でC社を設立する関係とは異なります。

ただし合弁会社は、既存企業の株式を買収して共同経営を行うこともあるため、資本提携がジョイントベンチャーになるケースもあります。

合弁会社のメリット

合弁会社の大きなメリットは次の3つ。

  • コストやリスクの軽減
  • 提携先が持つ強みを活用
  • 海外進出が容易になる

コストやリスクの軽減

合弁会社は複数の会社が共同出資して設立します。つまりコストを抑えて新会社を設立することが可能に。

また共同出資という性質から、パートナーシップの解消というリスクが起こりにくいのもメリットと言えるでしょう。

また仮に新規事業が失敗してしまった場合も、出資金を他社と分担しているため失う出資金を抑えることができます。

提携先が持つ強みを活用

複数企業が合弁会社を設立する場合、相手企業が持つ技術力やノウハウ、特許など、さまざまなリソースを活用できます。お互いの得意分野や強みを効率よく活かせるのは大きなメリットです。

海外進出が容易になる

事業の海外展開をしようとする場合、国によっては外資による設立が制限される場合があります。しかし現地企業と合弁会社を設立することで進出が容易に。

また現地企業との協力で、その国独特の法律やルールへの対応、トラブルの対処などにも役立ちます。

合弁会社のデメリット

合弁会社には次のようなデメリットもあります。

  • 方針不一致・トラブル発生時の対処が難しい
  • 技術やノウハウなどの流出リスク
  • 海外の共同出資者の発見が難しい

方針不一致・トラブル発生時の対処が難しい

複数の出資者が存在する合弁会社は、経営方針を巡ってトラブルになるケースがあります。

特に新規分野ではスピード感が求められますが、意思決定の遅れが生じると大きな損失に繋がりかねません。時に対立状態になってしまうこともあります。

技術やノウハウなどの流出リスク

自社で開発してきた技術やノウハウを合弁会社に提供することによって、相手先に流出してしまうという可能性があります。

リスク回避のためにも当然、相手企業の事前調査を徹底的に行い、秘密保持契約や知的財産権を守る体制を整えることも重要です。

海外の共同出資者の発見が難しい

海外進出をする場合、現地法人の発見は非常に難しいです。特に発展途上国の場合には、正確な情報を収集することが困難な場合も少なくありません。

パートナーの選定を誤ると悪影響が及ぶ恐れがありますので、細心の注意が必要です。

合弁会社設立するには

合弁会社の設立の手続きは、基本的に通常の会社設立と同様です。「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」のいずれかを設立します。

合弁会社をつくる上で最も重要なことは、パートナー企業の選定です。会社設立手続きの前に、まずはパートナーとなる会社をしっかりと調査して慎重に検討する必要があります。

合弁会社設立の手順は以下のとおり。

  1. パートナー企業のリサーチ
  2. 基本合意の締結
  3. 締結条件の確認
  4. 合弁会社設立契約の締結

パートナー企業のリサーチ

最初に合弁会社を共同で出資するパートナーを選定します。何度も言いますが、これが重要なポイントです。

選定を誤ると自社の経営に対して悪い影響を及ぼしますので、事前にパートナーとなる会社をしっかりと調査して慎重に検討してください。情報が少ない企業と合弁会社を検討する際は特に細心の注意が必要です。

基本合意の締結

次は合弁会社の設立に関する基本方針の合意です。

合弁会社の戦略やビジョンといった基本事項をよく確認し、双方の目標やビジョン、想定されるリスクやルールなどをすり合わせ、基本合意を締結します。

締結条件の確認

基本合意を締結したら、詳細な条件の確認をします。設立される法人の形態、出資比率、取締役の選定、株式の譲渡制限などを協議しましょう。

大きなことだけでなく、細かい部分までさまざまな条件をあらかじめきちんと確認しておくことが重要です。

合弁会社設立契約の締結

契約内容の検討を行い、双方が納得したら合弁会社設立契約の締結をします。ここまでの合弁契約の締結により、合弁会社の設立が確定。

運営開始後は新会社の業績などを考慮し、追加出資や戦略の見直しなどを行いましょう。

まとめ

  • 合弁会社とは複数の企業が共同出資し設立した会社
  • コスト軽減や相手企業のリソースを活用などメリット大
  • 方針不一致やノウハウの流出リスクなどデメリットも有

合弁会社設立により、お互いの強みを活用し新たなビジネスを展開しやすくなります。メリットも大きいですが、もちろんデメリットもありますので、しっかりと理解することが大切。

合弁会社の成功のカギは、パートナーの選定です。合弁会社失敗の多くは、このパートナー企業に関するリサーチ不足と言われています。パートナー企業の情報収集をし、パートナーが決まったら基本方針や条件などを十分に協議し、双方が納得できる条件を見出すことが大切です。

合弁会社などの設立に伴う管理業務の工数増大などは全てDFEにお任せください。適切なメンバーで適切な処理にて対応しコアに注力いただきます。

ご不明な点がございましたらお気軽にお声がけくださいませ。