【一人経理への丸投げはもうやめよう】不正、ストレス、休めない、どちらにとっても危険でしかない

ひとり経理への丸投げは もうやめよう

全ての経理業務を一人でこなす、いわゆる一人経理の状態である企業はたくさんあります。それもそのはず、日本にある企業の内99%は中小企業と小規模事業者であり、バックオフィスは売上に貢献しないため、体制をつくるのが後回しになりがちだからです。

しかし、一人経理は担当者の視点から見ても、経営者の視点から見ても危険な状況であることがほとんどです。

今回の記事では、一人経理について担当者と経営者の両方の視点から解説し、危険な状態を脱するための方法をお伝えします。

一人経理による経理担当者の負担

経理担当者がひとりだと業務の範囲が広くなり、その分負担も大きくなります。以下は負担の原因となってしまう3つの主な理由です。

  • 多忙で休めない
  • 相談相手がいない
  • 幅広い業務を任せられる

多忙で休めない

経理担当者が一人だと一人だと必然的にすべての経理業務をこなすことになります。経理担当者の業務内容についてはこの記事で説明しているのでよろしければご覧ください。
【経理の仕事ってどんなこと!?】

ここではざっくりと担当する業務をまとめてみます。会計入力、請求書の発行、取引先への支払い、経費精算、小口現金管理、月次決算といったところでしょうか。請求後の消込などそれぞれの業務はもっと細かくわけることができますがここでは割愛します。

日々の業務をこなすだけなく、月に一度の業務があるため残業が当たり前のように発生しがちです。また、月次決算は期日までに仕上げる必要があるのですが、そのために必要な書類が集まらないなどのトラブルが起きると、残業が発生するばかりか休日に仕事をこなすことにもなってしまいます。そうなると、長期の休暇や有給も取ることが難しくなります。

相談相手がいない

経理は専門的な業務であるために、相談相手がいないのは仕事をする中で大きな負担となってしまいます。会社の機密情報である財務に関わる数字なので、安易に外部へ相談ができないといった悩みもあります。

また、創業間もない会社では経理業務のフローが出来ていなかったり、会計ルールが明確に決まっていない会社もあります。経営者が経理と会計に詳しくなかった場合、業務をこなす中で相談したいことはたくさんあるが、自分でなんとかするしかなくなり、これがまた残業やストレスに繋がってしまうのです。

多忙とストレスで疲労が溜まっていても、同じ部署に相談したり頼れる人がいないため無茶をしてしまいがちです。

幅広い業務を任せられる

一人経理の場合、経理の仕事だけでなく労務や総務の仕事まで任せられるケースが多いです。例えば、給与計算、年末調整、入退社の手続き等です。

バックオフィス業務について理解が浅い経営者の場合、経理を含むバックオフィス関連の仕事量を少なく見積もりがちです。そのため少しくらい業務をふっても何も問題ないだろうと考えて、多岐にわたる仕事を経理担当者に任せてしまうのです。

しかし、これについてはいい一面もあります。中規模以上の会社だとここまで幅広い業務を一人に任せることはまずありませんが、一人経理だとバックオフィス全体を経験することができます。この状況が続き倒れてしまったりしては元も子もないですが、幅広い経験を積むことができるのは一人経理のメリットと言えるでしょう。

一人経理による経営者のリスク

一人経理の状態だと経営側にも大きなリスクがあります。以下の3つなどです。

  • 不正される可能性があがる
  • 退職、病気などのトラブルの対処が難しい
  • ミスが起きても分かりづらい
  • 月次決算が期日に締まらない

不正される可能性があがる

まさか自社の経理担当者が不正をするはずがない!皆さんがそう思っているかと思いますが、横領などの不正は後を絶ちません。それも一人経理の場合は業務を一人で回し、経営者が確認する頻度もあまりありませんので、不正が発生しやすいと言えます。

過去に実際にあった例として、昔から横領を繰り返し合計で3億円を会社から持ち去ったケースや、横領を行った従業員が消息を消し横領された金額が1円も返ってこなかったケースもあります。

どちらにせよ、会社が被った被害は大きく資金繰りに深刻なダメージを負うことになります。

また、不正が出来てしまう管理体制下での仕事は経理担当者からしても余計なプレッシャーがかかるため、早急に改善した方がいいでしょう。

退職、病気などのトラブルの対処が難しい

担当者の負担が大きいと離職にも繋がってしまいます。一人経理の状態だと退職や病気で急に勤務が出来なくなってしまった場合、その後の対処が難しくなってしまいます。後任を探しながら、経理業務を行わなければならないからです。

いなくなるまでに猶予があれば、引継ぎなどの時間をつくることでその後の負担は減らすことが出来ます。しかし、そんな余裕のない急な離職であれば、経理業務は専門性が高く、会社独自のフローになっている事が多いので通常通りの業務をこなすことさえ難しいでしょう。

それに加えて後任を探す必要もあるので、採用活動も同時にこなす必要があります。通常業務+経理業務+採用活動になるので社内の負担は大幅に上がってしまいます。

ミスが起きても分かりづらい

一人経理ではダブルチェックなどの間違いを防止するプロセスがないことが多いのでミスが起きやすいです。また、経営者や税理士の確認も頻繁ではないので、ミスが発覚するのが数カ月後になってしまうと遡って修正することになり、余計な時間がかかってしまうことになります。

また、請求や支払いなどでミスが発生した場合は会社の信用にも悪影響を及ぼしてしまいます。

月次決算が期日に締まらない

月次決算を期日に締めることは、経営数値を把握しタイムリーな経営判断をする上で非常に重要です。しかし一人経理の場合は一人でこなす業務量が多く、決算業務に手がつけられないことも起こるでしょう。その結果納期に間に合わず、必要な情報の把握が遅れてしまうことになります。

経営者は短時間で終わるであろう作業を経理に任せているだけかもしれませんが、想定以上の時間を要する作業だった場合、実際の現場では業務時間だけでなく、優先順位決めを行っており心身ともに負担となっているかもしれません。

一人経理のリスクと負担を解消するために大切なこと

  • 作業効率を上げる
  • 相談できる相手をつくる
  • 経理業務の見える化
  • 評価を伝える

作業効率を上げる

一人経理は業務の幅が広いので、作業効率を上げないと残業が常習化してしまいます。経理担当者が一人で改善してできる効率化には限界があるので、経営者が率先して効率化を図っていくことが大切です。例えば、会計入力の自動仕分け、経費精算のWEB化などはツールを導入することで、簡単に作業効率性を上げることができます。

まずは、担当者にどこを改善したいのか、時間がかかってしまっている作業は何か聞いてあげて、一つずつ改善していきましょう。

相談できる相手をつくる

一人で相談できずに悩みこんでしまう環境だと、担当者の負担はどんどん溜まっていくばかりです。年齢が近い社員との定期的な面談会を設けたり、税理士と気軽にやり取りができるような環境に整えてあげることが大切です。

経理業務の見える化

経理業務が担当者以外には何をしているのか分からないブラックボックス状態だと、先ほど記した経営者側のリスクが大きくなってしまいます。横領が起きやすく、発生してもすぐには発見できない。引継ぎが難しいから後任者も探しづらく、定着率も下がるなど悪いことだらけです。

これを防ぐためには、先ほどの作業効率を上げる方法と同じでツールの導入がおすすめです。システムで不正をする穴を無くしたり、業務フローを整えることもできます。経営者もシステムの管理者となることで業務内容の共有にもなります。

予算の関係でツールの導入が難しい場合でも、業務内容を明確にして誰かと共有するプロセスを作るだけでも見える化が可能です。

評価を伝える

会社から評価される機会がないとやる気が落ちてしまうものです。ただ、経理は他の部署に比べて評価がしにくいポジションです。営業や広報と比べて明確な数字で表しにくく、業務効率を上げるために取り組んだ改善も目には見えづらいことが多いのが原因です。評価基準を作ることができればいいですが、それが難しい場合は正確に業務ができていることや、行った改善についてしっかり耳を傾けて評価を伝えるようにしましょう。

アウトソーシングを選択肢のひとつに

一人経理の問題を出来る限り低予算で解決する方法としてアウトソーシングを利用するというのがあります。

アウトソーシングとは業務の一部、または全てを外部に任せるということです。アウトソーシングを利用することで低コストで担当者の負担を減らし経営のリスクも抑えることができます。

例えば、残業の原因になっているのが月に一回の業務(給与計算や経費精算、請求、支払い)であれば、アウトソーシングすることで作業が丸々無くなり、担当者の負担を大きく減らすことが出来ます。通常業務についてや効率化についても相談ができるため、環境の改善にも大きく役に立つでしょう。

また、担当者が退職した場合でも対処が容易になります。後任が見つかるまでの間だけアウトソーシングの幅を前任担当者の業務範囲まで広げたり、経理部ごとアウトソーシングすることができます。

その他にも多数のメリットがあるため、興味がある方はこの記事もぜひご覧ください。

まとめ

  • 一人経理は担当者の負担が大きく、経営側のリスクもある
  • ツールの導入などで環境を変えて上げることが大切
  • アウトソーシングは低コストでメリットも大きい解決策

事業規模が小さいなどで一人経理が仕方がない場合もあるでしょうが、そのままにせず出来るところから負担とリスクを減らす対策をしていきましょう。

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